ワンちゃん豆知識
必要な栄養素
愛犬の食事を、手作りしている飼い主さんは多くいらっしゃいます。
ただ、「きちんと栄養素をとれているかな?」「そもそも、どんな栄養素が必要なのだろう…?」と、疑問や不安を感じている場合もあるかもしれません。
この記事では、ワンちゃんに必要な栄養素についてお伝えするとともに、『どういった食事がおすすめなのか?』についてもお伝えしています。
「愛犬には健康的に過ごしてほしいな!」という飼い主さんは、ぜひ読んでみてくださいね。
ワンちゃんに必要な栄養素~6大栄養素について
『栄養素』という言葉を聞いたことのある方は多いと思います。
ただ、「どういうものなのか?」詳しく知っている方は少ないかもしれません。
栄養素の定義は、『動物が生きるために、体外から摂取しなければならないもの』です。
栄養素には、5大栄養素と言われる、炭水化物と脂質(脂肪)、タンパク質、ビタミン類とミネラル類があり、これに水を加えて6大栄養素と言うこともあります。
エネルギー源として利用される炭水化物、脂質(脂肪)、タンパク質を3大栄養素と呼ぶこともありますね。
どの栄養素も重要で、欠けてしまうことで健康を損なう恐れがあります。
以下では、それぞれの栄養素について、くわしくお伝えしていきます。
①炭水化物
炭水化物は、ブドウ糖やオリゴ糖、デンプンなどといった糖質と食物繊維から構成されています。
糖質はエネルギー源として重要であり、食物繊維は胃腸の機能を整える働きがあります。
人では、炭水化物をメインのエネルギー源とすることが多いですが、ワンちゃんにおいては、そうではないため、摂りすぎることで太ることや糖尿病のリスクが高まります。
ワンちゃんにおいては、『糖新生;とうしんせい』というシステムによって、アミノ酸などからブドウ糖を作ることができます。
それゆえ、タンパク質が十分に摂取されている場合、炭水化物は必ずしも必要ではないとも言われています。
ただし、市販のドッグフードは主原料が炭水化物であり、ドライフードの成型に利用されたり、かさましで便通をよくしたり、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいたり…という理由から、現代を生きるワンちゃんには適量摂取が重要です。
②脂質(脂肪)
脂質(脂肪)もエネルギー源として重要であり、ホルモンや細胞膜、脳や神経組織の構成などにも利用されています。
また、ワンちゃんの嗜好性の向上にもかかわっています。
脂質は脂肪酸によって構成されており、そのうち食事から摂取する必要のあるもの(体内で生合成できない脂肪酸)を必須脂肪酸と言います。
必須脂肪酸は、皮膚や被毛の健康維持、免疫機能や繁殖…などにかかわっており、非常に重要な栄養素です。
ワンちゃんにとっては、ω6脂肪酸のリノール酸、ω3脂肪酸のαリノレン酸、EPA、DHAが必須脂肪酸となっています。
③タンパク質
タンパク質は、エネルギー源としても使用されます。
ただ、エネルギー源としては、炭水化物や脂肪が優先的に使用され、タンパク質に余裕がある場合でエネルギーが不足しているときに用いられます。
タンパク質は、20種類のアミノ酸がたくさん結合したものです。
からだの細胞や臓器類、血管や消化管、筋肉、皮膚や被毛などになる『構造性タンパク質』と、ヘモグロビンやアルブミン、ホルモンや消化酵素などと言った機能を持つ『機能性タンパク質』に分けられます。
体内で作ることができない(食事として摂り入れなければいけない)アミノ酸を必須アミノ酸と言います。
ワンちゃんにおいては、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファンの10種類が必須アミノ酸となります。
④ビタミン
ビタミンは、エネルギー源やからだを構成する成分ではありませんが、動物の代謝に必要な微量栄養素です。
生体内において酵素の活性を発揮するための補酵素として、あるいは特別な栄養上の必須機能をもち、欠乏するとそれぞれ特有の欠乏症が生じます。
水溶性ビタミン(ビタミンB群、C,H)と脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)に分けられます。
前者は水溶性であるために、過剰分は排せつされ、過剰症は起こりにくいですが、絶えず供給されないと欠乏症を生じやすいです。
一方で、後者は肝臓などの脂肪組織に蓄積されるため、過剰摂取を長期間続けていると、過剰症が生じる危険性もあります。
ビタミン類は適量摂取がとても重要です。
⑤ミネラル
ミネラルは、歯や骨の構成成分となったり、タンパク質や血液中に含まれたり、体のpHや浸透圧の調節を行ったりしています。
ワンちゃんが肉食動物であるという意識を持ちすぎることで、肉・魚ばかりを与え続け、Pが過剰となり、Caの絶対量が不足して骨格の形成に異常をきたした事例もあります。
ミネラルにも欠乏症や過剰症があるということを認識し、適量を摂取することが大切です。
⑥水
水は栄養素に含まれないことも多いですが、5大栄養素が体内で利用されるためには水が必須となることから、5大栄養素以上に必要な栄養素とも言えます。
体脂肪の大部分、体タンパクの半分以上を失っても生存可能ですが、体水分のおよそ20%を失うと死亡するとも言われるほど、とても大切な栄養素です。
また、水は体内で最も多い物質であり、体重の65%程度を占めます。
そのため、毎日新鮮な水を用意してあげることは重要であり、食事からも水分が摂れるよう、工夫してあげるようにしましょう。
特に、寒い時期は、飲水量が低下し、泌尿器トラブルを生じる子がとても多くいます。
ぬるま湯にする、ウォーターファウンテンを用意する、ダシスープをあげる…などして、水分摂取を試みましょう。
ワンちゃんに必要な栄養素~しっかり摂るなら総合栄養食をあげよう!
ワンちゃんは人とは異なり、肉食寄りの雑食動物ですので、人の感覚で食事を作ることで、栄養にかたよりが生じてしまうケースもあります。
そのため、ワンちゃんの食事のメインは総合栄養食のドッグフードとし、トッピングやときどき手作り食をあげるようにしたほうがいいですね。
ただ、「ドッグフードは全く食べないです…」というワンちゃんもいて、その場合には、しっかり勉強したのち、手作り食を作製するようにしてあげてください。
最近では、ワンちゃんの手作り食を応援するお食事セットなども販売されているため、バランスよくあげるお手伝いができるかもしれませんね!
【まとめ】ワンちゃんに必要な栄養素とは?
ワンちゃんに必要な栄養素についてお伝えしました。
どの栄養素も、かたよりがないようバランスよく配合することで、健康的なからだを作るサポートができます。
できる限り食事のメインは総合栄養食のドッグフードとして、トッピングや日替わりでおいしい手作り食を提供してあげるといいでしょう!