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獣医師
ワンちゃんが秋になりやすい病気とそのケア方法
暑さもひと段落した過ごしやすい秋の時期は、ごはんをモリモリ食べ、十分な睡眠をとれるワンちゃんが多いです。
ほかの季節と比べると、病気の発生も低い傾向にありますが、いくつか気をつけたいこともあります。
この記事では、ワンちゃんが秋になりやすい病気をお伝えするとともに、その対策やおすすめのケア方法について解説しています。
愛犬と一緒にゆったりまったり秋の季節を楽しみたいな!という飼い主さんは、ぜひチェックしてみてくださいね。
ワンちゃんが秋になりやすい病気とは?
食欲が増す時期である秋は、肥満や消化器トラブルを生じるワンちゃんがしばしば見られます。
また、秋は、健康診断を行っている動物病院も多く、種々の病気が見つかることもよくありますね。
以下で詳しくお伝えしていきます。
肥満
『食欲の秋』とは言いますが、秋はワンちゃんにおいても食欲増加をする子がよく見られます。
「食べ足りないのかな…?」と思い、追加でドッグフードをあげたり、人の食べ物をついついおすそ分けしてしまったり…
結果として、カロリーオーバーとなり、太り気味となってしまう愛犬も多々います。
丸々とした体型は一見かわいらしく見えますが、心臓や足腰に大きな負担がかかってしまいます。
特に病気をわずらっているワンちゃんの場合には、肥満が生命にかかわることも…
『愛犬が太っているかどうか?』は、体重ではなく、BCS(Body Condition Score:ボディコンディションスコア)という指標で判断します。
ワンちゃんの適正体重やBCSについて詳しく解説した記事もあるため、ぜひご参考になさってください。
関連記事:ワンちゃんの適正体重~1日に必要なカロリーや食事量とは?
消化器トラブル
秋は、食べすぎや早食い、食事内容の変更などが原因となり、下痢や嘔吐といった消化器トラブルが多く発生する時期です。
一過性のものであり、元気がある場合には、絶食や食事量を減らすことで様子を見る場合もあります。
「ここ1カ月くらい、よく吐くな…」「最近、軟便や下痢が多い気がする…」など、症状が慢性化している場合や、食欲が落ちているにもかかわらず太っているなどの場合には、ホルモンの異常や腫瘍が関連していることも…
慢性的な消化器症状には、超音波検査や血液検査(ホルモン検査を含む)などに加え、療法食への変更や麻酔をかけて内視鏡検査をすることもあります。
症状が重いときや続いている場合には、動物病院を受診するようにしましょう。
健康診断で見つかる種々の病気
秋は、健康診断を行っている動物病院が多くあり、検査によって病気が見つかることがよくあります。
気になる症状がなくとも、血液検査に異常が出たり、腫瘍が発見される場合もあります。
検診で発見される病気は幅広く、尿路結石や腎臓病、高脂血症や脾臓の腫瘍…など多岐にわたります。
「そういえば、最近食が細くなってきたかも…」
「よくお水を飲むようになったような…」
実は、ワンちゃんがちょっとしたサインを出していることもあります。
今一度、愛犬の様子をチェックしてみましょう。
秋におすすめのケア方法
以上、秋になりやすいワンちゃんの病気についてお伝えしました。
病気を防ぐためには、前もっての対策や日頃からのケアが重要です。
ここでは、秋におすすめの愛犬のお手入れ方法を解説していますので、ぜひ行ってみてください!
健康診断を受ける
秋は、ほかの季節に比べると、病気をしづらい傾向にあるため、日頃の生活の見直しを行うことがおすすめされる時期です。
その一つとして、動物病院での健康診断があります。
健康診断の内容は、年齢や症状の有無などをもととして、相談で決めることが多いです。
一般的には、3歳程度までの若いワンちゃんであれば、問診や身体測定、血液検査がおすすめされます。
7歳くらいまでの中年齢の子では、レントゲン検査や腹部超音波検査を加えて、肺やおなかの臓器をしっかりチェックするといいかもしれません。
7歳以上ワンちゃんやしっかりと全身の検査をしたい場合には、心臓の状態を把握するために、胸部超音波検査や血圧測定なども加えるといいですね。
尿検査や便検査は手軽にできる検査のため、どの年齢でも行っておくといいでしょう。
費用や検査時間なども関与するため、「どこまで検査するといいか?」は主治医の先生と相談して決めるようにしましょう。
食事量・食事内容の見直し
健康診断を通して、愛犬の体型について助言があった場合には、食事量の見直しが必要となります。
太り気味のワンちゃんの場合には、減量用の食事に変更する、ウェットフードを多めに与える、食事量を減らすことで対応します。
ウェットフードは水分量の多い食事であり、嗜好性がよく、腹持ちもよいため、手軽にカロリーを抑えることが可能な食事です。
また、年齢に応じて食事内容を見直すことも大切ですね。
高齢になると、基礎代謝が低下し、太りやすくなるため、カロリーが調整されている食事が多いです。
一般的には、ドッグフードのパッケージに、『○○歳~』や『シニア期のワンちゃん用』などと表記があるため、それ通りにあげてもらうといいです。
ただし、厳密ではないため、「今の食事が大好き!」という場合には、体重や体型を見ながら続けてもらって問題がないことがほとんどです。
不安な場合には、主治医の先生にご相談してみてくださいね。
睡眠環境を整える
良質な睡眠がとれる時期ですので、睡眠環境をいまいちど見直してみるといいです。
ワンちゃんにとって快適な室温は25℃前後となりますが、『人が快適と感じる室温』と考えてもらって大丈夫です。
暑い場合には、落ち着きがなく、ハアハアとパンティングをしますし、寒い場合には、動かない、ずっと丸まっているといった状態が見られることが多いですので、愛犬の様子で判断をしてあげましょう。
季節に応じたペットベッドや寝床を用意してあげることも大切です。
また、ワンちゃんは集団生活をしていた動物ですので、1人で寝ることに不安を覚えることもあります。
そのため、別々の階や部屋で寝ている子が吠えてしまうケースはよくありますが、その場合には、同じ部屋で寝ることも考慮に入れてみましょう。
無音で真っ暗闇を怖がるワンちゃんもしばしばいます。
間接照明を利用したり、小さくテレビをつけてあげることも方法の一つとなります。
【まとめ】ワンちゃんが秋になりやすい病気とそのケア方法
ワンちゃんが秋になりやすい病気には、肥満や消化器トラブルがあります。
ついついおやつや好きなものをあげすぎてしまうこともあると思いますが、ここはぐっとこらえて、愛犬の健康を考えてあげましょう。
また、特に症状がない場合でも、過ごしやすい秋の時期に健康診断を受けることがおすすめです。
病気の早期発見、早期治療に努め、いつまでも愛犬と健康的に過ごしましょう!