獣医師

ワンちゃんが夏になりやすい病気

ジメした梅雨が終わり、いよいよ楽しい夏がやってきました!

ワンちゃんと一緒に海や川へお出かけをしたり、キャンプなどを楽しむ方も多いと思います。

ただ、最近の夏はとても暑い!ですので、熱中症をはじめとしたトラブルが非常に生じやすいです。

この記事では、ワンちゃんが夏になりやすい病気をお伝えするとともに、その対策やおすすめのケア方法について解説しています。

しっかり対策をして、愛犬と一緒に楽しい夏休みを送りたいな!という飼い主さんは、ぜひ読んでみてくださいね。

ワンちゃんが夏になりやすい病気とは?

ワンちゃんが夏になりやすい病気とは?

ワンちゃんが夏になりやすい病気には、

・熱中症
・冷房病
・膿皮症、趾間(しかん)炎など皮膚トラブル

などがあります。

一つずつ見ていきましょう。

熱中症

ワンちゃんが夏になりやすい病気と言えば、なによりも『熱中症』です。

ここ最近の夏は異常気象とも言われるほど暑く、ちょっと外に出るだけでも、容易に熱中症になる可能性があります。

そして、熱中症は室内でも起こりうることに注意が必要です。

冷房を使用せず、扇風機や窓を開けるのみで対応していた高齢者が亡くなる事故は後を絶ちませんよね…

同じように、ワンちゃんでもそのような環境下では、熱中症で命を落とす危険性があります。

ずっとハアハアしている、よだれが多い、ぐったりしている…などは熱中症のサインです。

即座に涼しい部屋に移動し、水が飲めるようなら飲ませ、からだを冷やすようにしましょう。

改善がないときや意識が遠い場合には、車内を涼しく保ち、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

冷房病(クーラー病)

熱中症の対策として、室内を冷やしすぎることで生じる冷房病

からだの体温調節機能に不具合を生じ、自律神経のバランスが乱れ、心身に多彩な不調が出る状態です。

「なんとなく元気がないな…」「食欲が落ちているような…」など、いつもとのちょっとした違いが、実はからだが冷えすぎているサインである可能性もあります。

また、お散歩時の外と室内との温度の差で、体調不良が生じるといったケースも…

一般的には、からだが感じる温度差は、7℃以下(できれば5℃以下)に保つようにするといいと言われています。

そのため、散歩は早朝や日が沈んでからなど涼しい時間帯を選んで行くこと、また、室内には寒さから逃げられるスペースを用意してあげることも大切です。

具体的には、冷房が効いてない部屋にも移動できるようにすること、ペットベッドやブランケットも置いておくことです。

膿皮症、趾間炎など皮膚トラブル

暑い時期はからだが蒸れやすく、膿皮症や趾間炎といった皮膚のトラブルがよく生じます

「足先をよくなめているな…」「からだにかさぶたがある…」などは、皮膚の調子が悪いサインです。

垂れ耳のワンちゃんの場合には、外耳炎も生じやすい季節です。

皮膚のトラブルについては、飲み薬や塗り薬で対応することが多いですが、同時に薬用シャンプーでのケアが必要なことも。

自己判断で治療を始める前に、まずは受診をするようにしましょう。

夏におすすめのケア方法

夏におすすめのケア方法

以上、夏になりやすいワンちゃんの病気についてお伝えしました。

病気を防ぐためには、前もっての対策や日頃からのケアが重要です。

ここでは、夏におすすめの、愛犬のお手入れ方法を解説していますので、ぜひ行ってみてください!

冷房をつける

夏の過ごし方として、何よりも大切なことは、冷房をつけることです。

扇風機や窓を開けての換気のみで過ごされる方もいらっしゃいますが、ぬるい空気を循環させても熱中症の対策とはなりません。

必ず冷房を使用し、室内温度を22~25℃程度に保つようにしましょう。

サーキュレーターや扇風機を併用することで、冷房効率はよくなりますよ。

また、万が一停電したことも考え、玄関やお風呂場に行けるようにしたり、接触冷感タイプ(アルミプレートなど)のマットを用意してあげることもおすすめです。

水は新鮮なものをいつでも飲めるようにする

熱中症や脱水症状の予防として、水はいつでも新鮮なものを飲めるようにしてあげてください

ウォーターファウンテンを用いる、ノズルタイプにする、器の高さを変える…など、愛犬が楽しく水を飲めるよう、さまざま調整してあげてください。

また、食事をウェットフードに変更するだけで、かんたんに水分摂取をすることが可能となります。
ウェットフードは成分の60~80%程度が水分であること、また嗜好性もよい食事であることから、夏場の体力維持にもおすすめです。

ただし、夏場は特に、出しっぱなしにすることで、劣化をしておなかを壊す可能性があります。
食べ残した分は、すぐに片付けるようにしましょう。

適切なスキンケア

ワンちゃんは汗をかかない動物と思っている方も多いですが、ベタベタした脂分の多い汗は、全身からかきます。

この汗はアポクリン汗腺という部分から放出され、体臭のもととなること、また犬同士のコミュニケーションにも利用されています。

(いわゆるサラサラの汗は体温調整にかかわり、エックリン汗腺から放出されます。ワンちゃんはエックリン汗腺が肉球や鼻の頭などわずかにしか存在しないため、汗による体温調節はできませんので注意しましょう。)

脂分の多い汗は、放置することで雑菌が繁殖してしまうため、しっかりケアをしてあげることが大切です。

まずは、ブラッシングを行い、汚れや余分な被毛をしっかり落とします。

その後、ぬるま湯で十分に全身を濡らし、シャンプーを泡立て、指の腹で皮膚の汚れを浮かしだすように洗います。

すすぎが不十分の場合には、皮膚に悪影響を与えますので、しっかりと時間をとって洗い流してあげましょう。

また、ドライヤーで完璧に乾かすことで、皮膚がカサカサになってしまうこともあります。

しっかりとタオルドライをしたのち、毛が絡まないようにブラッシングをしながら、多少濡れている程度に乾かしてあげれば大丈夫です。

【まとめ】ワンちゃんが夏になりやすい病気とそのケア方法

ワンちゃんが夏になりやすい病気には、

・熱中症
・冷房病
・膿皮症、趾間(しかん)炎など皮膚トラブル

があります。

必ず冷房を使って暑さ対策をしてあげる必要がありますが、逃げ場所として寒すぎない部屋やペットベッド・ブランケットなども用意してあげることが大切です。

また、新鮮な水は部屋のさまざまな場所に配置して、いつでも飲めるようにしてあげましょう!