犬がぶどうを食べると危険な理由3選

近年、ペットを飼う人が増えていますが、ペットの健康管理はとても大切なことです。

特に犬を飼う場合、与える食べ物に気をつける必要があります。犬にとって危険な食べ物のひとつに「ぶどう」があります。

ぶどうは人間にとって美味しい果物でありながら、犬にとっては重大な危険を孕んでいます。その理由はさまざまですが、農薬やカビ毒、さらには重金属などが含まれる可能性が挙げられます。

この記事では、ぶどうが犬に危険な理由、症状、応急処置方法などについて詳しく解説しています。愛犬を守るためにも、犬の食生活に関する正しい知識を身につけましょう。

ぶどうが犬にとって危険な理由3選

ぶどうが犬にとって危険な理由3選

ぶどうを犬に与えることは危険です。なぜなら、ぶどうは犬にとって有毒な果物だからです。ぶどうを摂取すると、犬はぶどう中毒になる可能性があり、少量であっても病院への受診が必要です。

ぶどう中毒の症状が酷い場合、腎不全を引き起こし、最悪の場合には死に至ることもあります。ここでは、ぶどうが犬にとって危険な理由を3つご紹介します。

1.中毒物質の”カビ毒”や”農薬”の影響がある

ぶどうには、農薬やカビ毒が付着している可能性があります。

ぶどうは一般的に農薬の散布が必要な作物の一つです。しかし、農薬の使用に関する規制が不十分な場合や、適切な手順が講じられなかった場合、ぶどうに残留する農薬の量が問題となります。

犬がこれらの農薬を摂取すると、消化器系や神経系に影響を与える可能性があります。

また、ぶどうにはカビが発生しやすいという特性もあります。カビは時に毒素を産生し、それがぶどうに付着すると、それが犬に悪影響を与えることがあります。

特に「アフラトキシン」と呼ばれるカビ毒は、肝臓に損傷を与える可能性があります。犬がぶどうの中に含まれるカビ毒を摂取すると、ぶどう中毒を引き起こす可能性があります。

ぶどう中毒は、犬にとって重篤な状態に至る可能性があるため注意が必要です。

2.ビタミンD類似物質による健康被害が起こることがある

ぶどうにはビタミンDに類似した物質が含まれていると考えられています。

犬がこれらの物質を摂取することで、血中のカルシウムとリン濃度が上昇し、犬の健康に悪影響を与える可能性があります。

通常ビタミンDは、正常な骨や歯の形成に必要な栄養素ですが、過剰摂取すると中毒症状を引き起こすことがあります。具体的には、体内のカルシウムとリンのバランスが乱れ、高カルシウム血症高リン血症といった症状が現れることがあります。

高カルシウム血症は、

・多尿や脱水
・嘔吐
・消化器系の異常

などの症状を引き起こす可能性があります。一方、高リン血症は、

・骨の疲労骨折
・腎臓結石の形成

などの問題を引き起こすことがあります。これらの症状は犬の健康を脅かし、場合によっては命にかかわることもあります。

3.重金属や環境中の毒物が含まれている可能性がある

ぶどうには土壌や水源に存在する汚染物質(重金属や環境中の毒物)が含まれている可能性があります。

これらの物質が犬の体内に入ることで、中毒症状を引き起こす可能性があります。

重金属の中でも特に懸念されるのは、鉛やカドミウムなどです。これらの重金属は、ぶどうの栽培地域における工業活動や大気汚染から土壌や水源に浸食され、犬がこれらの重金属を摂取すると、中枢神経系や消化器系、腎臓などに悪影響を及ぼすことがあります。

症状は犬の体重や摂取量によって異なりますが、

・嘔吐
・下痢
・食欲不振
・神経障害

などが見られることがあります。

これらの理由から犬にとってぶどうは危険な食べ物だといえます。

犬がぶどうを食べた時の症状

犬がぶどうを食べた時の症状

犬がぶどうを摂取すると、さまざまな症状が現れる可能性があります。

個体によって症状は異なる場合もありますが、一般的に報告される症状は以下の通りです。

急性の症状

急性の症状としては、ぶどうを摂取後、数時間以内に頻繁に嘔吐が見られます。

その後、下痢や食欲の低下、震え、呼吸困難、腹痛などが発生することもあります。

腎臓の病気

ぶどう中毒の最も深刻な問題は、急性腎不全を引き起こす可能性です。

ぶどうの成分によって腎臓が損傷され、腎機能が障害される可能性があります。ぶどうによる腎臓障害の兆候として、以下の症状が現れることがあります。

・水をよく飲むことが多い
・尿の量が少なくなったり、全く出なくなったりする
・ぐったりとした様子が見られる
・嘔吐が続く
・口臭がある
・血便や黒い便が出る
・痙攣が発生する

ほとんどの場合、犬がぶどうを摂取してから5〜6時間後から24時間以内に嘔吐が現れます。ただし、症状の現れ方や時間はわんこによって異なるため、獣医師に相談することが重要です。

ぶどう中毒に詳しい原因はまだ明らかにされていませんが、ぶどうに含まれる成分が犬の体に悪影響を及ぼすことが分かっています。

もし犬がぶどうを誤飲した場合には、早めに動物病院を受診することが重要です。獣医師による適切な処置や治療を行うことで、犬の回復を助けることができます。

もしも、ぶどうを誤飲したらどうしたらいい?

もしも、ぶどうを誤飲したらどうしたらいい?

犬がぶどうを誤飲した場合は、自分で対処しようとせずすぐに病院に連絡をする必要があります。

ぶどうを誤飲した際に気を付けるべきこと

無理に吐かせない

犬がぶどうを誤飲した場合、無理に吐かせることは避けましょう。

誤った処置は犬にさらなる負担をかける可能性があります。まずは落ち着いて、かかりつけの動物病院に連絡しましょう。

専門の指示を仰ぐことが最も安全で適切な対応です。

動物病院に連絡する際は時間と量を詳しく伝える

動物病院に連絡する際には、犬がぶどうを食べた時間や量をできるだけ具体的に伝えましょう。

これらの情報は、獣医師が迅速かつ適切な対応を判断するために非常に重要です。正確な情報提供が、愛犬の健康を守るために役立ちます。

動物病院に連絡する前の注意点

もしかかりつけの動物病院に夜間や休診日に連絡できない場合は、救急対応を行っている動物病院に連絡しましょう。

ぶどうの食べ残しがある場合は一緒に持って行きましょう。

犬の状態をより具体的に伝えるため、スマートフォンで動画を撮影することもおすすめです。

これらの応急処置を守り、動物病院の指示に従って行動することが重要です。吐かせたり胃洗浄をすることは危険なので、獣医師の指示に従いましょう。

また、犬が嘔吐や下痢などの症状を示す場合は、動物病院から現物を持ってくるように指示されることもあります。

犬の健康と安全のためには、定期的にかかりつけの動物病院で緊急時の対処方法について相談し、深夜や休診日に対応してくれる救急動物病院の連絡先を控えておくことも大切です。

ぶどうの誤飲に関する過去の症例

ぶどうの誤飲に関する過去の症例

ぶどうの誤飲による症例は報告されており、犬の健康に重大な影響を与えることが分かっています。

具体的な過去の症例を紹介すると、2001年にアメリカの研究者らによって報告された症例で「43頭の犬がぶどうや干しぶどうを摂取した後に腎機能障害を発症し、半数が急性腎不全で死亡した」などがあります。

日本でも、ぶどうやぶどうの皮、レーズンを摂取して死亡した症例が報告されています。

ぶどう中毒の原因物質については、農薬やカビ毒、ぶどう由来の未知の成分などが考えられていますが、まだ確定的な原因は特定されていません。

また、犬の個体差によっても症状が異なることが報告されていますが、

・嘔吐や下痢
・食欲低下
・震え
・呼吸促迫
・腹痛
・水をよく飲む
・尿の量が少なくなる(乏尿)

上記のような症状が見られた場合は早めの対処が必要です。

ぶどう以外の危険な食べ物4選

ぶどう以外の危険な食べ物4選

犬にとって、ぶどうだけでなく他の食べ物も危険な場合があります。

ここでは、犬が食べてはいけない食べ物の一部を紹介します。

1.チョコレート

犬にとってチョコレートは非常に危険です。チョコレートに含まれるテオブロミンという成分が犬の体内で分解されずに蓄積され、中毒症状を引き起こします。

チョコレート中のテオブロミンの濃度によって中毒の程度も変わりますが、一定量以上の摂取で重篤な結果につながることがあります。

2.キシリトール

キシリトールは砂糖の代替甘味料として使用されることがありますが、犬にとっては非常に毒性の高い物質です。

キシリトールが犬の体内に取り込まれると、急速に血糖値を下げ、重篤な症状を引き起こします。

キシリトールはガムやキャンディ、調味料、歯磨き粉などの製品に含まれている場合がありますので、これらの製品を犬に与えてはいけません。

3.アルコール

アルコールは犬にとっても有害です。少量でもアルコール中毒症状を引き起こす可能性があり、摂取量や犬の体重によって重症化することもあります。

アルコールは酒類だけでなく、風味付けされたお菓子やクリーム、調味料などにも含まれている場合がありますので、犬がこれらの食品を誤って摂取しないように注意が必要です。

4.ネギ、玉ねぎ、にんにく

ネギ、玉ねぎ、にんにくにはチオールという成分が含まれており、犬の赤血球を破壊する可能性があります。この成分は加熱されることで分解されますが、生のままの状態で犬に与えると中毒症状を引き起こすことがあります。

特に玉ねぎは中毒症状が重篤になる可能性があるため、与えてはいけません。

以上が犬が食べてはいけない食べ物の一部の紹介でした。

もしも、犬が危険な食材を食べてしまった場合には早急に獣医師に相談し、指示のもと適切な処置を行うようにしましょう。

まとめ

ぶどうは犬にとって有毒な果物であり、摂取すると重篤な中毒症状を引き起こす可能性があります。

症状には嘔吐や下痢、腎不全、食欲低下、震え、呼吸促迫、腹痛などがあり、最悪の場合死に至ることもあります。

ぶどう以外にも、チョコレートやアルコール、玉ねぎなど、犬にとって危険な食べ物がたくさんあります。

もし誤って犬に与えてしまった場合は、すぐに獣医師に相談し、適切な処置を受けることが大切です。ぶどうを少しでも食べてしまった場合は、すぐに病院に連れていきましょう。

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