- ホーム
- 専門家からのワン!ポイントアドバイス
- ワンちゃんが冬になりやすい病気とそのケア方法
獣医師
ワンちゃんが冬になりやすい病気とそのケア方法
寒くなってくると、お家から出ることが億劫となり、布団でぬくぬく過ごしてしまいますよね…
一方、ワンちゃんによっては、「雪遊びが大好き!」という子もおり、いつもより多めに散歩に出かけることもあるかと思います。
そんな冬の季節ですが、気をつけてあげたいことがいくつかあります。
この記事では、ワンちゃんが冬になりやすい病気をお伝えするとともに、その対策やおすすめのケア方法について解説しています。
愛犬と寒い時期を楽しく乗り切りたいな!という飼い主さんは、ぜひ読んでみてくださいね。
ワンちゃんが冬になりやすい病気とは?
ワンちゃんが冬になりやすい病気には、
・膀胱炎
・尿路結石
・呼吸器疾患
などがあります。
一つずつ見ていきましょう。
膀胱炎
飲水量が減る冬の時期は、膀胱炎や次にお伝えする尿路結石などの泌尿器トラブルが多発します。
「なんどもトイレに行くな…」
「おしっこが赤い気がする…」
といった場合には、膀胱炎になっている可能性があります。
一般的に、ワンちゃんの膀胱炎は緊急性が低いことが多く、なにもせずともよくなるケースもしばしばあります。
感染症で生じていることが多く、抗生剤や消炎剤で治療することが多いです。
「膀胱炎かどうか?」は、尿検査することで分かりますが、持参することですぐに検査が可能となります。
お肉や魚などがのっている白いトレーをきれいに洗い、おしっこ最中にすっと回収し、スポイトで吸い取り動物病院に持っていくといいです。
なお、専用の器や採尿キットのある動物病院もあるため、詳しくは主治医の先生にご確認ください。
尿路結石症
腎臓や尿管、膀胱や尿道など、尿路に石ができる病気を尿路結石症と言います。
尿路結石症は、症状がなく石が存在していることもありますが、ひとたび詰まってしまうと、命にかかわることもある怖い病気です。
特に男の子は女の子に比べると尿道が細く、石が詰まってしまうことが多くあります。
おしっこが出ないため、なんどもトイレに行く、食欲廃絶、吐き続ける…といった症状がしばしば見られます。
上でお伝えした膀胱炎と似たような症状を示すこともありますが、尿道結石の場合には緊急性が高く、すぐの治療が必要となります。
石の詰まった部位により治療法は異なり、尿道であればカテーテルにて詰まりを解除することが一般的です。
最近では尿管結石をわずらうワンちゃんも多く、腎臓がダメージを受けるため、手術による摘出が必要なこともあります。
いずれも、尿検査や画像検査によって診断がつきますので、定期的に検査を受けるといいでしょう。
呼吸器疾患
冬時期は、コンコン、くしゅんくしゅん…風邪をひきやすい季節ですよね。
ワンちゃんも同じで、寒い時期は、くしゃみや鼻水といった呼吸器に関する症状を示す子が多くいます。
特に子犬の場合には、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)と言って、いわゆる『犬の風邪』をひきやすいです。
抗生剤にて治療することが多いですが、重症の場合には、点滴やネブライザー(噴霧療法)など、入院治療が必要なこともあります。
犬の風邪は、ワクチン接種で予防が可能なものも多く、初回は2,3回、その後は1年に1回の追加接種が望まれます。
冬におすすめのケア方法
以上、冬になりやすいワンちゃんの病気についてお伝えしました。
病気を防ぐためには、前もっての対策や日頃からのケアが重要です。
ここでは、冬におすすめの愛犬のお手入れ方法を解説していますので、ぜひ行ってみてください!
水は新鮮なものをいつでも飲めるようにする
夏場は、熱中症や脱水症状の予防としての飲水が大切ですが、冬場は、おしっこトラブルを予防するために、飲み水を確保することがとても重要です。
ただ、寒い時期は、「なかなか水を飲んでくれない…」とお悩みの飼い主さんが多くいらっしゃいます。
もっとも簡単にできる方法は、ウェットフードやふやかしごはんにすることです。
食事から十分に水分が摂れる場合には、飲水として水を摂取することがほとんどなくなりますが、そちらで正常です。
よく、水を飲まないことが心配で、スポイトで飲ませる方がいらっしゃいますが、元気や食欲がある場合には、無理に飲ませなくても大丈夫です。
むしろ誤飲することや、飼い主さんとの信頼関係が損なわれることもあります。
きれいで新鮮な水をいろいろな場所に配置してあげればOKです。
トイレ環境を整える
トイレを我慢することで、泌尿器トラブルを生じやすくなります。
清潔で、においの少ないトイレを、いくつか用意してあげましょう。
また、トイレまでのアクセスも大切で、寒い場所や遠い場所などは、行くことが億劫で我慢するケースも…
いつも過ごす場所であるリビングなど、明るいところに配置してあげましょう。
外でしか排せつしない子もしばしばいますが、家の中でもできるように、トレーニングすることも大切です。
最初のうちは外でしたくて、玄関でずっとウロウロする場合が多いですが、ここはぐっと我慢(これによって膀胱炎になることは、一般的にはないです)。
いよいよ満タンになるとトイレでしてくれる(もしくは玄関や床などにしてしまう)ようになり、そのまま家ですることに慣れてくれるでしょう。
おしっこのにおいがついたトイレを玄関に置いておくことで、できるようになる子もいますが、「上手にできるか不安だな…」という場合には、獣医師やドッグトレーナーに相談してみましょう。
ワクチン接種
呼吸器疾患を予防するためには、ワクチン接種が大切です。
動物病院によって扱っているワクチンの種類は、6種や9種などと異なりますが、住んでいる環境や生活スタイル、獣医師の考え方などにより、なにを投与するかを決めます。
一般的には、外によく出るワンちゃんの場合には、多くの病気を予防できるワクチンがおすすめです。
というのも、7種以上のワクチンでは、『レプトスピラ症』というワンちゃんのおしっこを介してうつる病気を予防することができるからです。
電柱をクンクンする子の場合には、病気がうつってしまう可能性もあり、接種が望まれます。
ただ、費用や副作用の問題などもありますので、『どのワクチンを、どれくらいのペースで打つか?』は主治医の先生とご相談ください。
【まとめ】ワンちゃんが冬になりやすい病気とそのケア方法
ワンちゃんが冬になりやすい病気には、
・膀胱炎
・尿路結石
・呼吸器疾患
などがあります。
お水をたっぷり飲み、清潔なトイレを用意することは、泌尿器トラブルを減らせる可能性があります。
早速、ウェットフードを与えて、水をさまざまな場所に配置し、トイレをきれいに整えてあげましょう!